完成度の高いオープニング
2020年の秋に、Amazon Primeビデオで「とある科学の超電磁砲」「とある科学の超電磁砲S」を見て、超絶カッコいいオープニング映像にしびれた。最初モノクロで映し出される御坂美琴、only my railgunという最高の楽曲、それが劇中BGMに使われた際の効果、どれもすばらしかった。1期後期OPのLEVEL5-judgelight-、2期のsister's noise、eternal reality、どれもなんと完成度が高いオープニングだったことか。ただ、そのときは、それらの主題歌を歌っているのがfripSideというグループ、という知識しか無かった。
「とある科学の超電磁砲T」がAmazon Primeビデオでは有料だったので、「とある魔術の禁書目録」のアニメも見ようと、2021年の2月にNetflixに1ヶ月だけ入会、「とある魔術の禁書目録」(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)と「とある科学の超電磁砲T」、そして劇場版「とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟」などを堪能した。(なおNetflixはデフォルトではクレジットをスキップする仕様となっている。ご存知のように「とある科学の超電磁砲」などの第一話は、オープニング主題歌が最初ではなく、最後に流れる。だから目をはなすと、この最高の主題歌がスキップされてしまうのがなんとも残念仕様のため、「とある〜」を見終わったら解約した。)
「とある科学の超電磁砲T」の主題歌であるfinal phase、タイトルバックも含めるとオープニング映像としてはonly my railgunを上回ったかもしれない。
個人差はあると思うが、とりわけアニメソングの場合、曲を聴くだけで、映像が頭に浮かぶことが多い。それも全てということではなく、楽曲のサビと映像が合致すると印象に残りやすい。他作品で言うと、「黒執事」のモノクロのキスでは、「それでも一つの愛の形をさがす」のサビの部分で、セバスチャンが舞ながらナイフを投げてる映像とか。
only my railgunでは、冒頭のモノクロ美琴と、「暗闇に落ちる街並み」のところで走る黄泉川と鉄装、LEVEL5-judgelight-では、駐車場に入ってきて降車する月詠小萌、sister's noiseでは、フレンダと戦闘中の美琴、麦野が放つビーム、そして見つめ合う美琴と上条さん(本編にそんなシーンはない)。external realityは、いまひとつ印象が薄い。
final phaseは一番映像が頭に浮かぶ。大覇星祭競技に参加して頭を上げる御坂妹、すごいパンチを繰り出す削板軍覇、警策看取と交戦中の白井黒子(このシーンのカッコよさ半端ない)、戦闘中の婚后さん、湾内さんに泡浮さん、そして上条さんと削板の背中合わせの共闘、とシリーズ屈指の戦闘シーンの多いOPとなっている。
dual existenceも、いまひとつ印象に残ってない。(操歯の顔が割れるシーンは印象には残っているが、楽曲を聴いて頭に浮かぶことはない)
fripSide
ここまでは、一応fripSideの名前も知ってはいたものの、カッコいいOPという印象が強かった。でも楽曲は繰り返し聴いていた。
fripSideそのものを意識したのは、昨年、南條愛乃さんがfripSideを卒業するというニュースを目にした時。いや、このボーカル以外で、レールガンのOP無理でしょ、という率直な感想、そして、そもそもレールガン4期って作る気ない?という一抹の不安。
この時点ではまだライブに参戦しようという気にはなっていなかった。当たり前と言えば当たり前、新型コロナで、もうライブそのものに参加するという意識が希薄だったから。気持ちが変わったのは「fripSideのファイナルライブに参戦します」でも書いたように、たまたまYouTubeでfripSideの「LEVEL5-judgelight-」のライブ映像を見かけたから。なんてカッコいい。ライブ(バンド)バージョンになると、ここまで変わるのか、というくらい魅力的。
こんな魅力的なライブ、南條さんが卒業したら二度と参加することができない、と急遽参戦を決めました。ほんと、チケットが買えて幸運だった。
ライブに参戦するとなると、レールガンOPだけでは楽しさも半減するので、他の楽曲も予習。そして、レールガンの主題歌の歌い手であるfripSideから、アーティストとしてのfripSide Phase2のファンとなった。
まだ全部ではないけれど、moraでfripSideの楽曲を、ライブのセトリを中心にこつこつ買って聴いている。
アニメ「とある科学の超電磁砲」のストーリー
ここで、「とある科学の超電磁砲」に話を戻す。実は、「とある科学の超電磁砲S」までは、いまひとつ内容は気に入っていなかった。主人公としての御坂美琴が主人公らしくなかったから。あらかじめ言っておくと「とある魔術の禁書目録」のヒロインとしての御坂美琴は大好き。それがゆえに主人公としての足をひっぱってる印象があった。上条当麻という主人公と対になるヒロインとしての御坂美琴。御坂美琴自身は学園都市第三位、戦闘力は相当高い。が、上条当麻の主人公属性が強すぎ、そして御坂美琴のヒロイン属性が強すぎる。
「とある科学の超電磁砲」で、上条当麻が一切出ないストーリーだったら印象は違っていたかもしれない。それがグラビトン事件で、美琴を守った上条さん、圧倒的でした。だから、「幻想御手(レベルアッパー)」編で、マルチスキルで出現した怪物に対しても「ここに上条さんがいたら、右手で触れれば、それだけで終わる話」という感想を持ってしまった。原作にはないアニメ・オリジナルの「乱雑開放(ポルターガイスト)」編はなかなか面白かった。あれは御坂美琴の能力のみならず、仲間の力も含めて、カッコよかった。最後の決戦時のBGMのonly my railgunには鳥肌がたった。
「とある科学の超電磁砲S」「とある科学の超電磁砲T」でも似たような感想。こちらは、もっと積極的に上条さんが出張ってきてる。「妹達(シスターズ)」編でも「大覇星祭」編でも、最後は上条さん。しかも「大覇星祭」編では御坂美琴自身が災厄になってしまってる。ただ「とある科学の超電磁砲T」後期の「天賦夢路(ドリームランカー)」編は文句なしに面白かった。絹旗との巨乳御手(バストアッパー)争奪話とか、食蜂操祈を襲ってひとりで絶望力に浸るみこっちゃん、そしてドッペルゲンガーとの闘いで、巨人化する美琴様、急に主人公力をあげてきた。
そして、この「大覇星祭」編までの御坂美琴の主人公力の無さ自体、ストーリー上、重要だったことがコミックス版で判明する。
コミックス「とある科学の超電磁砲」
アニメ版「とある科学の超電磁砲」のOPがカッコいい→fripSideのライブがカッコいい→fripSideの楽曲が素晴らしい→アニメ版の「とある科学の超電磁砲」のストーリーも見直したら御坂美琴、かわいい、好き
という流れで、ここまで来たら、コミックス版も読んでみようか、と1巻〜17巻までまとめ買いした。(記憶が定かではないが、以前、Kindle本の「とある科学の超電磁砲」買おうと思ったらなかったんだよな。たしかアスキー・メディアワークスは電子書籍に積極的ではなかった時期があるので、Kindle版が出たの最近かも。)
アニメ版もいいが、コミックス版、また別の魅力がある。特に白井黒子、アニメ版でも、御坂美琴以上に主人公属性があり、信念を持った正義の人であるのだが、コミックス版での白井黒子は更にカッコよさとかわいさを増している。コミックス版でもアニメ版と変わらず変態ではあるものの、カッコよさ2割増し。(なんの根拠もないが、アニメでの水着回のせいかもしれない。コミックスではシャワー室でのシーンはあるものの、面積の小さな変態水着、下着のシーンがないので、黒子の尊厳が高いのかも)
アニメはなかなか原作に忠実と思う一方で、コミックス版では、妹達編でも大覇星祭編でも上条当麻の活躍はかなりあっさり。美琴を救ってくれたヒーローではあるものの、主役を奪うには至ってない。
そして美琴が真の主人公となるのは「獄門開錠(ジェイルブレイカー)」編。ネタバレになるので詳しくは書かないが(それでも微妙にネタバレになる箇所は文字色を白にします)、上条の竜王の顎(ドラゴンストライク)のひとつをなぜか所持している春暖嬉美と交戦した際に、上条当麻のヒーロー性を振り返り、自分にないものを意識しています。
護られるしかないヒロインの立場は ヒーローの百倍つらい
つまり、それまでに上条さんに助けられ「あんた主人公じゃなかったっけ?」と思わされたシーンは、ここにつながったのだと思われます。「御坂美琴はヒロインであって主人公属性ではない」って思わされていたことが、そもそも重要なストーリーで、16巻の最後では「そげぶパンチ」も披露、うならされました。(実際には「その幻想ごとブッ潰してやるわ」の台詞と、最後のパンチの間にはラグがあります。)
「獄門開錠(ジェイルブレイカー)」編では、白井黒子も、佐天涙子も、初春飾利も大活躍します。アニメ・オリジナルの「革命未明(サイレントパーティー)」編での佐天さんの活躍もすごかったですが、初春も佐天さんもここで覚醒、これまでになかった強さを発揮します。御坂美琴含め、レギュラーメンバー、短い期間でしたが成長が感じられます。この成長もテーマのひとつかと思われます。
アニメ第4期は?
コミックスでは、「獄門開錠(ジェイルブレイカー)」編が終わり、「一年生」編(過去編)に入っています。長期連載の場合、過去編というのはよくある展開なのですが、その次の展開が予想できない。とあるシリーズは全て連動してるので、時系列としては、「獄門開錠(ジェイルブレイカー)」編は、「とある魔術の禁書目録」での「後方のアックア襲来」の後、そして、その後、御坂美琴は上条当麻への想いを自覚し、自分でも行動すべく第三次世界大戦さなかのロシアへ向かう(現実世界で、ロシアがウクライナへの侵攻を開始し、一歩間違えば第三次世界大戦、という危機の中、劇中の第三次世界大戦の舞台がロシアというのは、記述に注意しないと検索でフィクションと事実が入り混じってしまいそうです)。
となると、「一年生」編(過去編)の後の、御坂美琴の行動からして、「とある科学の超電磁砲」のエピソードはどこに入れるべきなのか? ロシアに向かう前とすれば、上条当麻のことが心配でたまらない時期、第三次世界大戦後とすれば、上条の安否を心配、というより上条を死なせてしまったかもしれない自責の念にかられた時期、さらには上条帰還後、上条と行動をともにしたハワイ編、本編と関わりすぎていて、外伝たる「とある科学の超電磁砲」は難しそうな気もします。でも過去編で終わるより、一応は上条との気持ちの決着はつけて終わることを期待したい。
いずれにしても、「とある科学の超電磁砲」はこれからも(「とある魔術の禁書目録」の新約、創約に対応して)まだまだ続くということは考えにくい。となると、アニメ第4期があるとしたら完結編となりそう。
アニメのタイトルについているS、TはそれぞれSecond、Thirdの意味らしい。とすれば第4期は「とある科学の超電磁砲F」となるはず。Fだと、Forthだけでなく、First、Fifthにも当てはまってしまうので、第5期はどうするんだ、という疑問もあったのだが、たぶんあっても第4期までだと思う。そもそも本編が第3期まで(旧約完結)なので、新約以降を第4期として制作することが前提だと思う。どちらにしても、「とある科学の超電磁砲F」があるなら、早くても3年後くらいだろうか。
それでもOPはやっぱりfripSideであることを期待する。南條愛乃さんはもういない。現fripSide Phase3も3年後には、だいぶ軌道にのっているはず。fripSide Phase3が「とある科学の超電磁砲F」のOPを歌っても違和感がないだろうと期待している。
最後に
「とある科学の超電磁砲」の連載も、遠からず(数年後だったとして)完結する。fripSideも2022年4月23日のライブで南條愛乃さんが卒業し、Phase2としては完結した。
しかし作品は残る。fripSide Phase2の楽曲も、「とある科学の超電磁砲」のアニメもコミックスも作品としては残り、5年後も10年後もふれることができる。ともに素敵な作品にめぐりあえたことを幸運に思う。