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名探偵コナン、組織篇は終結へ向かうのか?(2)黒田管理官の正体

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「劇場版名探偵コナン ゼロの執行人」にて管理官・黒田兵衛の正体が「裏理事官=公安のボス=降谷零 (安室透の正体・公安)の上司」ということが判明した。これで自動的に「組織の人間ではない=ラムではない」と決定したかと確認したのだが、なぜか96巻にて、安室に対して電話で「バーボン…」と語りかけている。安室(=バーボン)に対して工藤新一の情報を探るよう指示したのはラムなので、これをストレートに受け取ると、ラム=黒田兵衛ということになる。

が、過去の展開を振り返っても名探偵コナンという作品において、物事をストレートに受け取る必要はないわけで、この台詞はせいぜい「黒田兵衛が公安の裏理事官だったとしてもラムではないと確定したわけではない」という状況確認にすぎないだろう。

で、そこんとこどうなの? ってなことで、状況を整理してみる。

  1. ラムの候補となっているのは、黒田兵衛、若狭留美(コナンのクラスの副担任)、脇田兼則(米花いろは寿司の板前)の三人。
  2. 作者の青山剛昌氏は(ミステリーとして)フェアであることに努めているフシがあり、バーボン篇同様、この三人以外がラムであることは(たぶん)ありえない。
  3. 三候補とも、ラム篇から不自然に登場した人物であり、それぞれが十分に怪しい。
  4. 今の所、あまり怪しくない、というより出番が少ないのが脇田兼則。
  5. 黒田兵衛と若狭留美は、コナンの正体に気づいているかどうかはともかくとして、その推理力が小学生のそれではないことは登場前から知っている。いや。コナンが何者かを探るために、それぞれ今の位置にいることはほぼ確定。
  6. 脇田兼則だけはコナンに対して注目する素振りを見せていない。

 単純に三択でだれがラムかを当てるゲームなら脇田兼則で決まり。ただ根拠はまったくない。というか、

  • 黒田は公安のボスであり、「組織」のNo.2ではありえない。
  • 若狭はコナンを本気で守っているように思えるからコナンの敵ではない。
  • もし脇田兼則がラムでなければ「何のために出てきたんだこいつ?」となってしまう。

ということで消去法で脇田兼則になるだけ。もっとも若狭留美が江戸川コナン=工藤新一ということには気づいてないが組織の人間として、工藤新一の周辺、つまり毛利小五郎、毛利蘭の調査をしていて潜入しやすいのが帝丹小学校だった(というか帝丹へはジョディが潜入したので同じことはできない)だけかもしれない。ただ、コナンの推理力が小学生のものではない、ということを知っていて、灰原に対して特に関心を見せていないというのも不思議なので、違うだろうなあ。(ググってみたら若狭留美=宮野エレーナ説ってのがあるみたいですが、さすがにそれは根拠がないと思う)

さてと、本エントリーの主目的である黒田兵衛の正体の話に戻そう。「作者の青山剛昌氏は(ミステリーとして)フェア」と書いたように、可能性としては有りうることでもそれをやったらストーリーとしてどうなのよ、ということはやらないはずなので、そうした面からも考察してみたい。

では場合分けを。

Case 1. 黒田兵衛が裏理事官であり、ラムであり、組織側の人間である場合

 この場合、公安を「組織」に握られていることになる。その場合、黒田兵衛にとって、降谷零はどういう立場になるのか?

「ゼロの執行人」において降谷零が公安として日本を守ることを指揮しているのだから、降谷零はあくまでも公安側の人間であり「組織」にバーボンとして潜入していることを知っている。これで、黒田兵衛が「組織」側の人間だったら、降谷零はこの世にいない。というより「純黒の悪夢」でラムの指令でキュラソーが公安に侵入し、ノックリストを入手したわけなので、黒田兵衛がラムであり公安の裏理事官であるなら「純黒の悪夢」のストーリーが成立しなくなってしまう。

なので、このケースはあり得ない。

Case 2. 黒田兵衛が裏理事官であり、ラムであり、公安側の人間である場合

 この場合、「組織」にはラムとして潜入していることになる。あの「組織」は、CIAから、イーサン・本堂、水無怜奈、FBIから赤井秀一、日本の公安から降谷零、スコッチ(諸伏景光)、それ以外にも「純黒の悪夢」では各国の捜査機関から潜入されていたわけで、ここでNo.2のラムまでも公安の潜入捜査官とうことになると、それでよくまあ、組織が成立するというか、その時点で勝負あり。パワーバランスを大きく欠いた最終決戦はつまらなくなってしまう。

なので、このケースはあり得るが、面白くないので、この展開はなさそう。

 となると、やはり黒田兵衛はラムではない、とみるべき。ならあの安室に対しての「バーボン…」という台詞は何なのか?

  • 黒田兵衛は、降谷零がバーボンとして組織に潜入し、普段は安室透という名前で活動していることを知っている。
  • 安室はバーボンとして受けた指令を黒田に報告している。当然ラムから受けた「工藤新一の情報求む」という指令も黒田に報告済み。
  • 黒田としては降谷が組織に潜入捜査官であると疑われないよう、ラムから受けた指令に対して「(ラムに疑われないよう)報告を怠るな」と伝えている。
  • その際、それは降谷がバーボンという組織の人間としてやっていることだとうことを忘れないように「バーボン」と呼びかけた。

これしかあるまい。

なお、文中、安室透のことを降谷零と書いているのは意図的です。あえて本名で書いているということではなく、組織への潜入捜査以外の公安の仕事をしている場合には、彼は降谷零です。コナンや少年探偵団、世良、毛利蘭らの前では安室透となります。

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