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今更だけど実写版「銀魂」の感想

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実写版「銀魂」(無印)は原作と異なっていても「銀魂」だったが「銀魂2 掟は破るためにある」は良くも悪くも福田組だった。

実写版「銀魂」(無印)はあまり期待せずに見たのが幸いしたか、かなり面白かった。原作に忠実そうに見えて、結構原作改変していたものの、改変された部分も含めて銀魂の世界観を踏襲していたのがよかった。福田組っぽいパロディ満載でも、銀魂自体パロディ満載なので違和感もなかった。ラスト近く、桂小太郎の用意周到さに銀さん(小栗旬)が「ルパンかよ」ってつぶやくシーンも(小栗旬が実写版「ルパン三世」を演じたことにひっかけた)ギャグかと思ったが、原作を読み返してみたらその通りの台詞だったとか。

唯一「違うだろ」と違和感があったのが、平賀源外が銀時に向かって「ジャンプの読みすぎっ! ジャンプの読みすぎっ!」って腰振ってたところ。平賀源外はじいさんだからあんなに軽くない。あれは完全にムロツヨシだった。

第一作がよかったので期待が高くなりすぎた第二作「銀魂2 掟は破るためにある」はひどかった。第一作の評判の良さに監督が勘違いしたか「福田組」になってしまっていた。

まず佐藤二朗。第一作では鬼兵隊参謀、武市変平太を演じた。私は佐藤二朗のボソボソ喋りに突然大声を出すエキセントリックな芝居が嫌いだが、第一作では原作の武市変平太が変態だったこともあり、役柄にマッチしていた。

この武市変平太という役柄、原作では準レギュラーともいえる重要なキャラである。第二作では出番がなかったが、もし第三作、第四作と続く場合、再登場の可能性が高いキャラクターである。たまたま第二作では出番がなかっただけなのに、第一作で武市変平太を演じた佐藤二朗をキャバクラの店長役、で起用とはどういうことか。キャバクラの店長など原作では取り立てて語るほどのキャラクターでもなく、ここはもう佐藤二朗そのものになっていた。

福田監督は佐藤二朗とムロツヨシを偏重する。「宇宙の仕事」のようなオリジナル作品であれば問題ない。原作がある作品でも役柄にあっていれば問題ない。が、このように佐藤二朗を出したいから出す、というのはどんなものか。私はあのボソボソが大嫌いなのでキャバクラのシーン不愉快だったが、周囲の観客には受けていたので好きな人は好きなんだろう。だが銀魂の世界が福田組になってしまったシーンだった。

ムロツヨシ演じる平賀源外も原作なら出番がないところだった。原作では土方十四郎のヘタレの原因は妖刀を手にしたことであり、その説明役は村田鉄子のはずだった。しかしヘタレ化の原因が「ヘタレチップ」なるものに変更された結果、村田鉄子の出番はなくなり「からくり」ということで平賀源外の出番となった。これもムロツヨシを出したいための原作改変であろう。

この改変、実は影響範囲が大きい。

  • 原作では、偶然手にした妖刀のせいで土方がヘタレ化したのに対し、映画では、伊東鴨太郎が打ち込んだヘタレチップのせいだった。伊東はこの時点で土方を殺せたはずなのになぜチップを打ち込んだのか? 平賀源外のシーンでヘタレチップが作られなくなったのは「そんなことしないで殺しちまえばよくね?」って理由と語られたが、全くそのとおりで、ここでも伊東が土方にそんなものを打ち込めるなら銃殺すればいいだけのこと。
  • そのため原作よりも伊東の悪人度が増している。その結果、原作では感動的なラストが茶番ぽく見えてしまう。
  • 妖刀の呪いなら気合でねじ伏せることもできるが、ヘタレチップというからくりなら、克服は不可能。なのに終盤、そのチップが破壊される描写があるが、これは無理がある。

それ以外でもいくつか。

第一作では「イケメンの無駄遣い」と評されたが、これは褒め言葉。イケメンだからといって無駄に出番を増やさないのはいいこと(いや、実際には紅桜篇では真選組の出番はなかったはずなのに桂一派→真選組に改変されてる)だったのが、第二作では松平片栗虎役に堤真一を起用して無駄遣いができないと思ったのか、

  • 町中に連れ出して遊んでいたのは将軍の影武者という設定にしてしまう。
  • 鬼兵隊の真の目的が将軍暗殺ってことになってしまう。
  • 江戸城での戦いで、将軍を守るための御庭番衆が登場したのに、そこに服部全蔵はもちろんのこと、前半に登場したさっちゃんこと猿飛あやめ(夏菜)がいない。

というおかしなことになっていた。

あの将軍が影武者とすると、原作での「将軍暗殺篇」で、万事屋の面々と将軍の関係が弱くなってしまう。(床屋で粗相をしたのは本物の将軍だったようだが)

そして原作では鬼兵隊の真の目的は、春雨の幕府との接触で、幕府内の一橋派をかついで傀儡勢力を作ろうとしている時期であり、そんな状況で将軍を暗殺する意味もない。

沖田総悟(吉沢亮)のかっこよさとか、エンディングの「踊る大捜査線」パロとか、楽しめる部分もあったので、最低点をつけるものでもないけれど、佐藤二朗、ムロツヨシが劇中の役ではなく、佐藤二朗、ムロツヨシであることを強く押し出されるのはあんまり好きじゃない。

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